食欲がない

最後に、最も多い症状である、食欲不振について述べます。

リクガメはほんの些細なことですぐに食欲不振になります。ペットショップで購入したてのリクガメが、ついに死ぬまで何も口にしなかった、などということもよく聞きます。少なくとも初心者の方がリクガメを購入する場合、ショップで必ず餌を口にしているものを購入するようにして下さい。

ショップのケージの中に餌が入っていて、それを食べている姿を観察するか、もし何も入っていない場合は、ショップの人にお願いして、餌をあげてもらってみて下さい。健康状態に問題のないカメなら、新鮮な野菜を入れてもらえば多少満腹気味でも少しは餌にかじりつくものです。

もしも全く餌に興味を示さないようなら、どんなに気に入ったカメでも即購入は避けるべきです。あきらめきれないときは、次の機会にまたショップを訪問して同じく観察をして下さい。

当たり前のことですが、食欲不振とは症状であって病名ではありません。食欲不振となった原因をつきとめて、その根本原因を改善してやらないと、事態はどんどん悪化します。幼若なカメなら丸1日、成体のカメでも1週間(これは最長でということです)、食べ物を口にしないときは何らかの手を打たなければなりません。(冬眠する場合は別)

食欲不振の原因(飼育環境の問題からの)

  1. 環境温度がそれぞれの種類の好適温度域をはずれている。(特に低温すぎる)
  2. シェルターがなくて落ち着かない。また、環境が明るすぎる。
  3. 人通りの多いところにケージを設置したり、常に上から見下ろされているような所に置かれて落ち着かない。
  4. 食餌の内容が今までと違いすぎる。
  5. ケージが狭すぎる。あるいは密飼い状態である。
  6. 同居している他の個体に、常にいじめられたり、餌場を占領されている。
  7. 床材その他、飼育環境内に好ましくない匂いがある。
  8. 太陽光線や、適切なフルスペクトラムランプの使用がなされていない。

これ以外に、妊娠中のメスも、食欲が無くなることがあります。(全部ではありません)上記の環境要因で思い当たるものを改善し、それでも食欲不振が続くようなら、これは一刻も早く診察を受けて下さい。また、食欲がないときは、なんといっても脱水とそれからくる腎機能障害を防いでやらないといけません。獣医師の診察を受けるまで、最低2日に1回は温浴をして水分の補給につとめて下さい。