肥満

肥満は万病の元、とはよく言ったもので肥満していると人間と同じく色々な病気にかかりやすくなります。とは言うもののコロコロしたワンチャン、猫ちゃんほどかわいく見えるものです。そんな甘い誘惑を断ち切り、ぜひダイエットをさせてあげて下さい。見違えるほどの活発さを取り戻す子もいます。
肥満だとどんな病気になる?
最も気を付けなくてはならない病気に糖尿病、心・血管系疾患、関節・筋骨格系疾患の3つがあります。肥満であること自体がこれらの病気の予備軍であるといっても良いでしょう。
その他にも、腫瘍や免疫力の低下、皮膚病など色々な病気になる可能性が高くなります。
・糖尿病の場合
 血糖値のコントロールがきかなくなる病気ですが、ご存じの通り命に関わる病気です。一生インスリン投与などの治療が必要になります。
・心・血管系疾患
 体重が普通の子と比べて1.5倍なら心臓が血液を送らなければならない組織も1.5倍です。要するに普通の子より心臓が常に1.5倍頑張っていると言えます。そうすると、 当然の事ながら負担も1.5倍になります。高血圧になり、心臓の弁や筋肉、血管の壁な どに故障が出やすくなります。根本的な治療が難しい場合が多く、一生涯にわたり薬で負 担をかけないようなコントロールを必要とします。
・関節・筋骨格系疾患
 体重が重ければそれだけ物理的な負担が関節や骨にかかってきます。そのため、関節炎や脊椎の損傷などをきたし、歩行すら困難になってしまいます。そうした場合、飼い主さん による全面的な介護が必要になり、特に大型犬の場合、事態が深刻化します。寝たきりに なってしまうと、床ずれやそれに起因する感染症、排泄物の垂れ流しなどが発生し、飼い 主さんにかかる負担は計り知れないものになってきます。根本的な治療が難しい場合が多 く、飼い主さんによる介護が一生必要になります。
ダイエットの心構え
ダイエットの最大の問題点は、家族全員が協力できるか?という点にあります。動物病院でわざわざ高いフードを買ってきて、お母さんが一生懸命ダイエットフードだけをあげて頑張っていたのに、ちっとも体重が減ってこない・・・。実はお父さんが夜中にコッソリお酒のつまみをあげていた。・・・なんていうのは日常茶飯事です。または、「ゴハンはチョットしかあげてないんですよ〜、なんで痩せないのかしら?」よくよく聞いてみるとゴハンは確かにチョットしかあげてないのですが、その10倍くらいおやつのジャーキーを食べている、とのこと。これでは痩せません。
このようにダイエットは家族全員の協力と飼い主さんの断固たる決意が必要です。ワンちゃん、猫ちゃんの「ひもじいよ〜」光線もぐっとこらえ、みんなで協力してダイエットに臨みましょう。
ダイエットの方法は?
はっきり言ってそんなに難しいことではありません。日々の体重を細かく測り、体重の増減が無いなら、その時点であげているゴハンの量がプラスマイナス0の量、ということになります。そこからゴハンの量を少し減らし80%ほどにして様子を見ていく、といった要領でやれば良いのです。
今では色々なフードが発売されており、動物病院専用減量フードだと表示された量だけあげていればちゃんと痩せてきます。しかも嗜好性が良く、最近は非常に人気が高いようです。
ただし!減量フードをあげているときは原則として減量フードしかあげることが出来ません。おやつに・・・なんていうのはナシです。ど〜してもおやつをあげたい場合は減量フードの一日量からあげて下さい。
効果は?
年齢が若ければ若いほど効果が目に見えやすいようです。明らかに運動性能が向上したり、いびきをかかなくなったり、好奇心が旺盛になったりします。意外なほど効果があるため、飼い主さんが途中からかなり積極的になってくるパターンが多いです。
チェックポイントは?
・腰のくびれはあるか?
・背骨は触れるか?
・あばら骨は触れるか?
ここまでが基本的な部分です。あとは病気との関連性もあるため注意が必要です。
・走った後、異常に疲れている。
・ガーガー言う。
・時々びっこを引く。
・水をやたら飲む。
・咳が出ることが多い。
・お腹がいつもパンパン。

*これらの徴候が見られる場合はお気軽にご相談下さい。